デザイン教育における「情報を処理すること」の本質的追求
〜デザイン情報学科「情報処理I」授業実践を通して

3.2 phase02:[considering "context"]


 phase01にて採集した12の「テクスト(=写真、以下テクスト)」ついて、それぞれに3つの他人の「テクスト」との関係を紡ぎそれぞれに自分自身でキーワードを設定する。よって各個人は4枚の写真(うち1枚は自分の写真+3枚は他人の写真)×12セットをまとめる。(図7

 ここで、「テクスト」と<与えられた漢字一字のイメージ>という意味内容の対応関係は切断され、各自が設定したキーワードと、そのキーワードに沿ってカテゴライズされた4つの「テクスト」の相互の対応関係が拘束力をもつことになる。4つの「テクスト」の関係性は、設定した1つのキーワードに依存していると同時に、1つの「テクスト」は他の3つの「テクスト」によって規定されている。言い換えれば、4つの「テクスト」を規定している「コンテクスト」を言語化したものが設定したキーワードである。

 さらに、関係を紡いだ4つの「テクスト」、設定したキーワード、そのキーワードの解説をwebの1ページにまとめ、サーバの指定された自分の領域にアップロードするという作業が学生に課せられる。この作業は学生全員が同様に行っていることから、ある1ページ(自分の設定した1つのキーワードに並ぶ4つの「テクスト」)を見た場合、3つの他人の「テクスト」は、必ず他人の設定したキーワードに対し1回以上は使用されているはずである。よって1ページに配された自分の「テクスト」に固有のURLを与え、その「テクスト」を引用した場合に、その「テクスト」固有のURLへリンクを張れば、クラス全員の閉じたサイトの中で永遠にリンクを辿ることができるということになる。(図8

 また、それぞれのページは前述のように1つのキーワードに対する4つの「テクスト」の関係性で成り立つが、ある1つの「テクスト」からリンクされた先では、リンク元の「テクスト」と3つの別の「テクスト」が全く新たなキーワードのもとに集結されており、リンク元の「テクスト」が持っていた1/4の意味性は全く異なったものとなっていることが理解される。(図9)(図10)このように「コンテクスト」によりそれぞれの意味が織りなす「かたち」が異なっていることを実感することがこの演習の目的のひとつである。

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