デザイン教育における「情報を処理すること」の本質的追求
〜デザイン情報学科「情報処理I」授業実践を通して

3.1 phase01:[considering "text"]


 まず、学生各個人がこの演習の中で素材となる「テクスト(text)(註11)」を採集する。この演習では、任意に抽出した漢字一字を各個人に与え、身の回りの環境からその漢字をテーマに撮影した写真を「テクスト」とする。ここで要求しているのは、写真の撮影技法や作品性の質ではなく、自らの意図に沿って環境をいかに切り取るか、または環境からいかに情報を抽出するか、ということである。それは自らの視点から環境を情報化する行為であるともいえる。その情報化の指標が個人の主観に依存しないために、あらかじめ任意の漢字を与えている。よってこの段階では、個々の「テクスト」=写真は、<与えられた漢字一字をテーマに撮影された>という一義の意味内容を持っている。

 その後、各個人が撮影した写真12枚について、それぞれの写真が与えられた漢字に対してどんな対応関係を持っているのか、を全員に向かって説明(プレゼンテーション)する。これは次のphaseにて、今度は自分の撮影した写真と他人の撮影した写真に対応関係を求める作業を行うからである。(図5)プレゼンテーションにあたっては、12枚の写真のサムネイルが一覧できるwebページを用意し、(図6)そこからそれぞれ1枚ずつ写真がリンクされ表示されること、を条件としている。

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