デザイン教育における「情報を処理すること」の本質的追求
〜デザイン情報学科「情報処理I」授業実践を通して

3.3 phase03:[understanding physically the theme "hyperlink"]


 phase02にて制作したwebページにおいて貼られたサイバースペース上の概念としての"ハイパーリンク(hyperlink)"に対し、現実空間に「ひも」を用いて"ハイパーリンク"の関係性を可視化・実在化し、身体感覚としてのタンジブルな理解を試みる。

 クリックするとリンクされた他のページまたは部分を表示する「ハイパーリンク」という事実は概念上では認識・理解できても空間認知的に把握するのは困難である。しかし「ハイパーリンク」という概念はwebの構造上最も重要な要素であり、この概念をまだインターネットに触れはじめたばかりの若き学生たちが、どのように認知するかが今後の学生各自の表現及び知的生産活動に大きく影響することは必至であろう。今回はリンクという見えない・触れられない関係を「ひも」で張りめぐらせることにより、見える・触れられる関係に置き換え、認識の新たな地平を拓いた。(図11)(図12)(図13

 情報伝達及びその処理にあたって、まずそこにある「情報」の構造はそれだけでは、見えず・触れられない状態のことが多い。そのような関係にあるものを人にわかりやすく伝達する方法を考えるにあたり、認識のチャンネルを適宜変化させ、受信者の特性を十分に考慮した状況に置き換え伝達することが、情報伝達・処理・表現にあたって最も重要でかつ基本的な態度である。それには適切な情報の組織化・構造化=情報に「かたち」を与える行為が必要であると同時に、その「かたち」はその情報処理過程におけるコンテクストに大きく依存していることを理解することが、この演習の大きな目的である。

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