デザイン教育における「情報を処理すること」の本質的追求
〜デザイン情報学科「情報処理I」授業実践を通して

3. 「かたちのコンテクスト」での取り組み]


 この演習課題では、information processing basicsで修得した諸知識を活かし、実際にwebページを制作するとともに、webにおいて重要な概念であるリンクの構造と意味を「概念的」に、加えて「体感的」に理解し、その過程で発生する様々な記号操作と情報が織りなす諸相を実践的に理解するための演習である。

 ここで扱う「かたち」とは、視覚認知可能(visible)なもの、触知認知可能(tangible)なものだけにとどまらない、私たちが「意味」を与え、認知可能となったモノ・コトすべてをいう。その「意味」は、私たちが現在生きている世界の文化・言語・生活慣習などのさまざまな関係性によって生みだされる。つまり、そのような背景となる「コンテクスト(context)」によって、意味を表す「かたち」はさまざまに変化する。 ここでは、「かたちのコンテクスト」をテーマに、私たちの身の回りに存在するさまざまなモノ・コトの関係性の諸相と、コンテクストによりかたちの意味が変化する過程を明らかする試みを実践し、その関係性を可視化・実在化し、身体感覚としてのタンジブル(tangible)な理解を試みる。

 この課題で重要なのは、個人がつくるイメージそのものによる表現ではなく、自分の展開するイメージと他者が展開するイメージをつなぐ「関係」においてどのような諸相が見出せるか、ということである。

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