デザイン教育における「情報を処理すること」の本質的追求
〜デザイン情報学科「情報処理I」授業実践を通して

1.3 デザイン情報学科「情報処理I」の概要


情報処理I(註8)は、デザイン情報学科1年次必修科目である。全24回のうち前半8回は、情報の基礎知識習得を主眼にした「information processing basics」 とデジタルデザインの基礎知識習得を主眼とした「digital design basics」にわけ、それぞれ4回ずつの講義及び課題演習を行う。中盤8回は「かたちのコンテクスト(註9)」と題し前半部分で修得した諸知識を活かし、実際にwebページを制作するとともに、webにおいて重要な概念であるリンクの構造と意味を「概念的」に、加えて「体感的」に理解し、その過程で発生する様々な記号操作と情報が織りなす諸相を実践的に理解するための演習を用意している。さらに後半では、「かたちのコスモロジー」と題し、自分を取り巻くさまざまな事象と自己の存在の関係性に目を向け、その関係性によって定義されている情報を多義的に捉え、各自がwebページにまとめ表現を行うことでこの科目を終える。

 本稿ではこの中の、「information processing basics」と「かたちのコンテクスト」を取り上げる。学生がそれぞれの課題を進行するプロセスの中に、情報のもつさまざまな側面の理解と現実空間において課題作業を行う学生自らの行為をオーバーラップさせる仕掛けを用意し、普段意識化されていなかったプロセスを可視化・実在化して示し、体感的に認識することで、「情報を処理すること」が単にコンピュータ上の記号操作という側面によるものだけではなく、デザインが内包する本質的行為であるという理解を促すことを目的としている。

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