デザイン教育における「情報を処理すること」の本質的追求
〜デザイン情報学科「情報処理I」授業実践を通して

2.4 exercise 04: [editing information]


 exercise01から03までの内容を学生個人がwebページにまとめる。各課題に対し考察(自分の考え・解釈・発展など)を必ず記述することを条件とする。

 これまでの各課題で学び、実感した内容を復習しwebページにまとめる作業である。授業を通して触れてきたように、単に自己中心的な表現では情報伝達は行われず、情報をうまく処理したとはいえない。情報の受信者にその意味内容が適切に理解されることではじめて情報伝達が成功するのである。

 また、学生にHTMLやwebページを実践的に理解させる課題において、安易に自己紹介ページをつくらせる課題を多く目にする。これは自己というものが持つ情報について、自分自身が当然よく知っているため、コンテンツ収集に悩まずに興味を保って行われるであろうという根拠に基づいたものであると考えられる。しかし、客観的に物事を判断し表現を行うといった一連の方法論をまだ身に付けていない学生にとって、いきなり自己という主観を客観的な切り口で情報としてまとめるというのは難しく、むしろ高度であるように感じる。自己というものを世界に位置づける場合、その周りの環境世界との意味レベル及び物理レベルのインタラクション(interaction)として考えなければ、自己の存在を明確に位置づけることはできない。そのような情報のあり方やまとめ方の観点を与えずに、いきなり自己紹介を行わせても、そこから得られるものはツールの使い方以外にはわずかなものである。大切なのは背後にある情報をいかに構造化するかという行為である。そこで、今回の課題のように一度情報伝達における客観性や情報の組織・構造化の意味を体感的に理解させる試みを行った上で、さらにその自己の体験を客体化した情報としてまとめる、というプロセスを踏ませることがステップとして適切ではないかと考える。

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